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農業者年金とは?

 農業者年金とは,「農業者の老後生活の安定及び福祉の向上と農業者の確保に資すること」を目的として,昭和46年に発足した公的年金です。
 少子高齢化などの社会情勢に対応するため,平成14年に現行の制度へと改正され,公的年金制度の2階部分として,農業者の老後生活を支えています。
 任意に加入する積立方式・確定拠出型の年金で,農業者にとって魅力的な制度となっています。

国民年金だけではダメなの?

 総務省の家計調査によると,高齢農家の夫婦2人の消費支出は月額23万円程度となっており,国民年金のみによる収入の場合は,1ヶ月あたり10万円程度不足することとなります。また,高齢単身世帯の場合は7万円程度不足することとなります。
 さらに,農業者年金基金の算定によると,農業者は男性が86.5歳,女性が92歳まで生存されるため,男性は年金受給世代になってから21.5年間,女性は27年間,安定した収入を確保することが必要になります。

どのようなメリットがあるの?

 農業者年金は農業者の老後生活を支えるため,より安全で安心して加入者の年金を積み立てることができる公的年金制度です。
 このため,一般的な個人型確定拠出年金とは異なり,事務経費は国が全て負担するなど,次の6つのメリットがあります。

「のう」農業者なら幅広く加入できる!
「か」 確定拠出型・積立方式だから少子高齢時代に強い!
「に」 2万円~6万7千円(通常加入)で自由に選択できる保険料!
「は」 80歳前に死亡した場合は死亡一時金がある,終身年金!
「せ」 税制面の優遇措置が大きい!
「い」 一定の要件を満たす農業者には保険料の国庫補助がある!
「じ」 事務経費は国が負担!
「つ」 つまり加入するしかない!!
  .. ....
「農家には誠実」と覚えてください!

「のう」 農業者なら幅広く加入できる!

 農業者年金は,次の3つの要件さえ満たす農業者であれば幅広く加入ができます。このため,農地の権利名義を持たない経営主の配偶者や後継者,農家のパート従業員も加入することが可能です!

 ① 年間60日以上農業に従事している方

 ② 国民年金の第1号被保険者(国民年金の保険料納付免除者は対象外です)

 ③ 20歳以上60歳未満の方

「か」 確定拠出型・積立方式だから少子高齢時代に強い!

 農業者年金は,加入者が積み立てた保険料とその運用益を年金として受け取る制度で,加入者・受給者の数に左右されにくい安定した「積立方式・確定拠出型」の年金制度です。
 現役世代が負担した保険料を,そのまま受給世代への年金に充てる方式である「賦課方式」とは異なり,積立方式・確定拠出型である農業者年金は,自分自身の財布に保険料を蓄えて運用するような制度ですので,人口変動に影響を受けにくいという特徴があります。

「に」 2万円~6万7千円(通常加入)で自由に選択できる保険料!

 農業者年金の保険料は,ご自身が保険料の全額を積み立てる通常加入の場合,月額2万円~6万7千円の範囲において,千円単位で,いつでも,自由に,何度でも変更することができます!
 例えば,経営にゆとりがある時は保険料を増やし,経営にゆとりがない場合や出費がかさむ時期などは保険料を減らすといったことも可能であり,農業経営の状況や老後設計に合わせて保険料を選ぶことが可能です。
 さらに,農業者年金はいつでも脱退でき,そしていつでも再加入できます。また,脱退した場合でも農業者年金基金が責任をもって資産運用するので,将来の年金に備えることができます!!


 しかも,令和4年1月から制度が改正され,次の要件を満たす35歳未満の方であれば,月額1万円から加入することも可能になりました!

【保険料引き下げ(保険料1万円以上)の対象者】
次の①~⑤のいずれにも該当しない方
 ① 認定農業者かつ青色申告者
 ② 認定就農者かつ青色申告者
 ③ ①又は②の者と家族経営協定を締結し経営に参画している配偶者又は直系卑属 
 ④ 認定農業者又は青色申告者
 ⑤ ①又は②以外の農業を営む者の直系卑属で,その農業に常時従事する後継者
→その代わりに,①~⑤に該当する農業者には,後述する「保険料の国庫補助」があります!

「は」 80歳前に死亡した場合は死亡一時金がある,終身年金!

 農業者年金を受給する際,その年金額は男性と女性のそれぞれの平均余命や予定死亡率を勘案した「年金現価率」という基準により計算されています。
 その一方で,農業者年金は終身年金であるため,自身が積み立てた分は一度受給し始めると経営移譲年金や特例付加年金の支給停止※を除いて一生涯その額が減額されることなく受給することができます。
 これにより,農業者年金は長生きすればするほど受給する総額が大きくなり,生存される年齢によってはご自身が積み立てられた保険料額を大きく上回る額を受給できる場合があります。
 さらに,仮に80歳前に亡くなられた場合でも,死亡した翌月から80歳に達する月までに受け取るはずであった年金を「死亡一時金」として遺族が受け取ることができます!


※ 経営移譲年金や特例付加年金
 後継者や第三者に経営移譲(経営継承)を行うことで受給できる有利な年金のことで,農業経営を再開した場合などに減額されることがあります。

「せ」 税制面の優遇措置が大きい!

 農業者年金は,次のように多くの点で税制面の優遇措置があるため,より大きな節税効果が期待できます!

①支払った保険料は全額が社会保険料控除の対象となり,支払った保険料の全額が所得税・住民税・復興特別所得税を節税できます!
 しかも,経営主が同一生計の家族分の農業者年金保険料を支払っている場合,家族分を含めた全額が社会保険料控除の対象になります!

【農業者年金保険料額と保険料控除額】
農業所得 所得税率
住民税率
農業者年金保険料
月額2万円(年額24万円) 月額6万7千円(年額80万4千円)
195万円以下 15.1% 所得のうち,24万円分に掛かるはずであった金額である約36,000円が節税! 所得のうち,80万4千円分に掛かるはずであった税額である約121,000円が節税!
195万円超
330万円以下
20.2% 所得のうち,24万円分に掛かるはずであった税額である約48,000円が節税! 所得のうち,80万4千円分に掛かるはずであった金額である約162,000円が節税!
330万円超
695万円以下
30.4% 所得のうち,24万円分に掛かるはずであった金額である約73,000円が節税! 所得のうち,80万4千円分に掛かるはずであった金額である約244,000円が節税!
※保険料支払分で控除される所得税+個人住民税の額の試算です。保険料支払い後も保険料支払い前と適用される税率に変更がないものとして試算した額です。
※お住まいの都道府県,市町村によって税率が異なる場合があります。

②年金資産の運用益も非課税
 通常,一定の預貯金の場合は約20%の税金がかかりますが,農業者年金の運用益は非課税であるため,その分,年金原資が多くなります。
③受け取る年金も公的年金等の合計額が110万円までは全額非課税です!
④死亡一時金は非課税
 加入者が80歳前に亡くなられた場合に遺族に支払われる死亡一時金は非課税です!

「い」 一定の要件を満たす農業者には保険料の国庫補助がある!

 農業者年金は国の政策年金であるため,若者の担い手を支援し,家族が揃って加入することを支援するため,次の要件を満たす農業者には保険料の最大半額を,最長20年間,国が補助するという保険料の国庫補助(=政策支援加入)の仕組みがあります!

① 60歳までに保険料納付期間(農業経営を法人化して厚生年金に加入した期間等を算入できる「カラ期間」を含む)が20年以上ある(見込まれること)
② 農業所得が900万円以下
③ 次の区分1~5の要件を満たす者

【保険料の国庫補助対象者と補助額】
区分 要 件 国庫補助額
35歳未満 35歳以上
認定農業者で青色申告者 1万円補助 6千円補助
認定新規就農者で青色申告者 1万円補助 6千円補助
区分1または2の者と家族経営協定を締結し経営に参画している配偶者または後継者 1万円補助 6千円補助
認定農業者または青色申告者のいずれか一方を満たす者で,3年以内に両方を満たすことを約束した者 6千円補助 4千円補助
35歳まで(25歳未満の場合は10年以内)に区分1の者となることを約束した者 6千円補助
※1 認定農業者には農業法人として認定を受けている者は除きます。
※2 区分3及び5の「後継者」は経営主の直系卑属のことであり,後継者の配偶者は対象になっていません。(養子縁組を行い直系卑属になった場合は対象になります)
※3 区分3及び5については,年間農業従事日数が150日以上ある必要があります。

農業者年金のことをもっと詳しく知りたい!加入したい!という方へ

 農業者年金のことを「もっと詳しく知りたい!」という方や「農業者年金に加入したい!」という方は,お近くの農業委員会かJAにお問い合わせください。
 また,独立行政法人農業者年金基金HPには,農業者年金の詳細な制度説明の他,農業者年金に加入した場合の将来の年金額を試算できる年金シュミレーターがありますので,ぜひご覧下さい。